ダイエットとは、やはり自分を知ることである

前回、前々回の続きです。

DIET OR DIE

ダイエット開始。
食事制限についての4つのルールを正当な理由なく破った時点で切腹するという鉄の掟を定めた。痩せるか、死か。

「ダイエットから考えるモチベーションコントロール」

ネガティブモチベーションと、ポジティブモチベーションがある。

今回のダイエットプロジェクトでは、ネガティブモチベーションに分類される手法である「鉄の掟」と「恥」を使った。

自分が何に喜び、何を嫌うかを知る

ここで皆さんにも考えていただきたい。痩せたいとき、自分だったらどんな手法をとるでしょうか。
これは人によって違うでしょう。
スポーツチームに入り、運動に楽しさをプラスする人もいるでしょう。
友達を誘い、一緒にダイエットの苦難に立ち向かうことで心の支えを加える人もいるでしょう。
逆に、友達とダイエット対決をし、ゲーム性を加える方法もあるでしょう。

世の中のダイエット本やネット記事には、記者の成功体験とともに、色んな方法が書かれています。
それを真似するのは良いですが、一点注意すべきなのは、自分の性質にマッチしていない手法は、効果的ではないということです。
あくまでも、その人が成功したのは、その手法が正しかっただけではなく、自分としっかりマッチングしていたからです。

それを踏まえて、前回書いた「鉄の掟」と「恥」という手法が、僕のどういった性質に基づいて決められたか説明します。

完璧主義にもとづく鉄の掟の設定

僕は、基本的に完璧が好きです。何かをするときに、完璧じゃないと気持ち悪いので、例外なく完璧な状態を目指します。
ただもちろん、世の中には完璧を目指せるものばかりではないということは理解しています。

ダイエットの場合で考えてみます。
一般的には、ダイエットをしようとするとこんな感じでしょう。

  • できるだけ毎日運動をしようと心で決めるが、どうしてもできないときは無理をせず、できる日だけでも運動をするようにする。
  • 食事は、なるべく普段から炭水化物や糖質を取らないようにし、朝を多めに食べ、夜はなるべく少食にする。
  • ただし、大事な日や飲み会などのときは、ガス抜きとして食べていいことにする。

素晴らしいです。これができれば、無理なく痩せられると思います。
じゃあ、完璧主義の人がこれをやるとどうなるか説明しましょう。

  • できるだけ毎日運動しようと心で決めるが、どうしてもできない日が一日でもあると、自分の中の完璧が崩れてしまい、もう行っても行かなくても一緒になる。
  • 食事は、なるべく炭水化物をや糖質をとらないようにするが、もし1回でも食ってしまうと自分の中の完璧が崩れてしまい、「1回も2回も同じでしょ…」となってしまって、ズルズルと摂取するようになる。
  • 大事な日や飲み会のときはガス抜きとして食べていいことにしておくが、一度飲み会で食ってしまうと自分の中の完璧が崩れてしまい、友人と二人で食事に行ったときなどでも、「これは普段の食事じゃなくて飲み会だ」という勝手な理論をつけ、ズルズルと食ってしまうことになる。

つまり、完璧主義の人間は、「蟻の穴から堤も崩れる」「割れ窓理論でいうところの割れ窓」状態が起きやすいと思います。

完璧主義の人間の扱い方

じゃあそこでどうすべきかというと、完璧条件のラインを下げるのが効果的です。
普通の人が100点を目指して70点をとるのだとすると、完璧主義は、70点を目指して完璧に70点を取るような設計をするべきです。
なので、僕がルールを決めるときに意識しているのは、まず「絶対に守れるルール」を設計することです。

前回書いた「4つの鉄の掟」は、自分に根性さえあれば、不確定要素によって絶対に破られることのないルールになっています。
肉を食ってもいいし、酒もハイボールや焼酎はOKなので、夜の飲み会にも参加できます。
ハイカロリーの飲み物やデザートを強制的に食わないといけないケースは、ほぼないです(唯一、自分がオーナーをしているコーヒーショップのメニュー、チーズケーキの試食だけは業務上避けることができず食べました)。
そして、炭水化物を全く取らないのもそれはそれで問題がありそうだったので、ロカボ食品に限って食べてもいいルールにしてます。

この鉄の掟に、運動の項目を入れなかったのも、意図的です。
普通、ダイエットは運動と食事制限がワンセットです。ただ、運動は不確定要素によって阻害されることが多いです。
言い換えると、やらない言い訳ができてしまうということです。
運動するには、必ず時間を消費します。つまり能動的行為です。
そして、僕のような不規則な業務形態で生活をしていると、どうしても運動の時間がとれないという日が出てきてしまいます。
つまり、自分に対して、「これは過失だ」と言い訳ができてしまいます。ここが、蟻の穴であり、割れ窓になります。
それに対して、食事制限は逆に時間を使わない。つまり消極的行為です。
この食事制限ルールを破るためにわざわざ立ち上がって行動しないといけないのです。これを破ってしまった日には、もうどう頑張っても自分に言い訳できないでしょう。
完全に故意です。アウトです。ただの根性なしです。人間のクズです。

これだけ甘いルールにしておいて、守れないなんてありえません。
そして、ルールを甘くする代わりに、ラインは死守しなければならない。
つまり、守れなければ切腹です。
「アリ」と「ナシ」の境目をきっちり言語化して定め、グレーゾーンは作らず真っ白と真っ黒にわけています。
ダイエット中にもかかわらず、焼肉屋に行って腹いっぱい肉を食い、ハイボールを飲みまくっても、ルールを破ってないのでセーフ。1ミリも悪くない。真っ白なんです。

「無駄で頑固なプライド」を利用せよ

そして、もう一つ大事な手法が、「恥」です。
前回書きましたが、これは「ダイエットをしていることを人に言いふらす」という手法です。
ここで僕のどういう性質を踏まえているかというと、
「覚悟を決めて一度口にしたことを実行しないことを徹底的にダサいと思っている」というものです。
いわゆる、「無駄で頑固なプライド」を利用しています。

ちなみに、読まれている方の中には、「一度口にしたことでも、状況が変われば対応力を朝令暮改も辞さず、自身の対応力もって解決する」というタイプの方もいるとおもいます。
その思想自体を僕は否定しませんし、それはそれでその方の美学なので、素晴らしいと思います。
ただ、そういった方にはまずこの方法はあまり効果が無いと思います。

そしてもうひとつ、自分の中の大事な根本的な性質があります。それは、「自分自身の保身のためだけの嘘をつかない」と決めていることです。
もし仮に、ルールを破ったのにも関わらずそれが世間に知られるのが恥ずかしいからと言って嘘をつくようなことがあったとしたら、それはもうダイエットのルールとか関係なく切腹するレベルの罪だと思っています。
あくまでも、自分で自分に対して課している感覚であり、人に強制するものではありませんが。

以上が、自分の性質を利用した上での手法です。
これでだいたい説明が終わったんですが、あとちょっとだけ補足です。

効果測定時の評価指標は出来るだけシンプルにする

最後にこれも言っときたくなりましたんで言っときます。

前々回の記事でこう書きました。

僕の目標は、「体重を58kgより下に落とすこと」です。
「健康的に体重を58kgより下に落とすこと」でもなければ、
「効率よく体重を58kgより下に落とすこと」でもなく、ましてや、
「リバウンドしない形で体重を58kgより下に落とすこと」など、ハナから考えておりません。

ここで意識したのは、目標をできるだけシンプルにするということです。
体重という、数字だけで表すことができる客観的な数値のみを評価指標とすることにしました。

健康的だとか、効率がどうとか、リバウンドしやすさがどうとか、そもそもダイエット期間の最中に測定できないんです。
なのにそんな条件を付け加えてしまうと、エネルギーの行き先がブレます。
「リバウンドしやすいが体重がおちやすい方法」
と、
「リバウンドしにくいが体重がおちにくい方法」
とを比較したときに、迷いが生じます。完璧主義は、迷いが生じたら終わりです。
グレーゾーンを作ったら終わりなんです。行動の判断基準を鈍らせる要素は徹底的に排除しました。
リバウンドしても、病気しても関係ないです。

そして、目標体重は定めましたが、期間は定めておりません。
なぜなら、以前書いたように、自分が「現場対応型」だからです。

プログラミング的にいうと、こんな感じでかけます

Q. 今日の体重は58kgより高いか?
Yes:今日一日、鉄の掟を守りなさい
No:ダイエット終了

これを一日ずつ繰り返すだけです。どうでしょうか。めちゃくちゃ刹那的で、めちゃくちゃシンプルじゃないですか?

ダイエットは、ごちゃごちゃ考えてたらダメです(僕の場合は)。
ルールはなるべく少なく、ちょっとだけ甘く、そのかわり死守し、それを言いふらす。
目標設定も、とにかくシンプルに。
これでなんとか58kgを目指したいと思っています。
もう、ここまで書いてしまったんで、後には引けません。絶対やりきります。
これくらい本気で取り組まないと絶対失敗するくらいダメな人間だということを、自分でよく知っているんです。
ここまで厳しいルールにしなくても、成功できる方は成功できると思います。ただ、そんな優れた方と僕のようなダメ人間を一緒にしてはいけません。

この記事が、みなさんのダイエットライフ、ひいては全てのセルフモチベーションマネージメントについて、少しでも参考になれば幸いです。

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