息子を一人で世話をした父親が気づいたこと

虎之介という、1歳4ヶ月になる息子がいます。
しかし、僕と妻の仕事の都合上、僕は田川市内、妻と息子は福岡市内と、少し離れた場所で生活していて、毎日会うことはできません。

妻は一人で、毎朝毎朝、虎之介の朝食の用意をし、保育園に送り届け、仕事に行き、夕方には保育園にお迎えに行き、
帰る途中に買い物をして、帰ってご飯の支度をし、風呂に入れて歯を磨き、虎之介を寝かせたあとに次の日の朝食の仕込みをしています。

たまに、虎之介が体調を崩すことがあります。
そうなると、保育園に預けることはできません。
妻か、僕か、どちらかが一日虎之介の世話をしないといけません。
熱が出るタイミングは、ほとんどの場合、急に訪れてしまうので、
申し訳ないことに、近くにいる妻が会社の有給休暇を使って対応してくれています。

しかし、病状によっては長引くこともあります。
そうなってくると、さすがに妻だけで対応するのは厳しい場合がでてきますので、
妻が働いている間、僕が一人で虎之介を観る日もあります。

はじめて、妻不在で一人で虎之介の面倒をみたのは、今年の4月でした。
1歳0ヶ月のときです。

僕が、3日間連続で妻が仕事から帰宅する18時までの間、虎之介の面倒をみる日がありました。
もちろん、少しの時間なら面倒をみたことはあります。しかし、半日以上となるとはじめてでしたし、
妻がいないところでご飯を食べさせたこともありませんでした。

前日の夜のうちに、妻と翌日のタイムスケジュールと食事のメニューの打ち合わせをし、
そのとおりに遂行する、という感じで3日間無事に乗り切ることができました。
そこで、痛烈に思ったことがあります。
以下のツイートを御覧ください。

これです。ほんとにこれ。
子供といると、全く何も出来ません。
慣れてないと、「子供の身の安全を確保しつつ、家財の破損を防ぐ」っていう、たったひとつのタスクだけでパニクります。
一瞬目を離した隙に何かはじめるので、目を離すことができるのは、せいぜい数十秒です。1分以上はもう無理です。
トイレをするときも、ドアを開けたままです。
とにかく、見てないと怖いんです。

これに、1日目に気づきました。
しかし、3日目ともなると、少し慣れてきました。
そして、妻に言いました。

「たしかに、四六時中子供を見ているのが、なかなかしんどいということがわかった。
でも、目は埋まっているが、耳と口は空いている。
子供を見ながら、電話で打ち合わせをしたり、オーディオブックを聴いたり、ラジオを聴いたりすることで、
仕事やインプットの時間に充てることはできるよね。そんなふうに、時間を有効活用したらどう?」

僕からすると、妻の時間を有効に活用してもらうためのアドバイスのつもりでした。
すると、妻から返ってきた答えは、こんな感じでした。

うーん、できることはできる。でも、それは本気で子供と向き合っていることにならない。
私は、一緒にいるときは虎之介が今何を考えているかを、目と耳、両方使ってずっと観ているし、
何かアクションを起こすたびに、声がけをしている。
一人でテレビをみているときも、テレビの何に対してどういう反応をしているか観ている。

ガツンと頭を叩かれたような気がしました。

仕事に例えて言うなら、僕が目指していたのは、ただただ何事もなく安全に一日のタスクを回すことでしかありませんでした。
つまり、バイト生以下の意識の高さしかなかったのです(世の中には意識が高いバイト生の方もいらっしゃると思いますが、平均的な話をしてます)。

もちろん、大きい目で見ると、虎之介をただ安全に育てるだけでは物足りません。
より元気に、より明るく、より優秀に育ってもらいたいと思ってます。
しかし、その想いは僕が頭の中だけで思っていただけで、現場まで落ちてきていなかったのです。
妻の場合は、その想いと現場での一挙手一投足がリンクして、現場レベルに落としこめていたのです。

ここで、プロジェクトマネージャーの妻と、所詮バイト感覚の僕との間に大きな意識の差を感じて、へこみました。

それ以来、なるべく虎之介と二人きりのときは、スマホやPCを触らないように心がけ、
話しかけるようにしています。


ここで終わってもいいんですが、あえて蛇足覚悟で補足です。

コレ系の話になると、ママさん側の意見として、
「ホント、ウチのダンナは子供の世話の大変さを何も分かってないから。私の身にもなってみろっつーの」
みたいなのをよく目にするんですが、個人的には、それはそれで無茶な話だと思います。
人間、体験したことのないことは想像できないです。
どれだけ優しくても、どれだけ頭が良くても難しいと思います。

責任者の感覚を本当に理解するのは、責任者にならないと無理です。
ほとんどの場合、子供の世話の責任者は母親になることが多いと思います(役割が逆の方は、以下「父親」と「母親」を入れ替えて読んでください)。
このとき、父親は、母親の大変さを知れるわけがありません。
ここで「いや、俺は妻の気持ちを100%分かってるよ」という父親がいたら、
分かってない上に、分かっている気になっているので、二重に罪を犯していることになります。

なので、そんな母親ができることは、一つだと思います。
短期でもいいので、父親に責任者の体験をさせることです。
もちろん、短期にすぎないので、完璧に分かることは到底不可能ですが、
「短期でもこれだけ難しいのに、これを毎日責任をもってやりつづけていくとなると相当大変なんやろな…」と想像するための材料にはなります。

ウチの場合、妻は、正直なところ最初に僕に一人で子供の世話をさせるのを、不安がっていました。
多少無理をさせることになるけど、私の母親にお願いしようか?と。
でも、その日は僕を信じて任せてくれました。
ここで失敗を恐れずに任せてもらえないと、何事も前に進みません。

仕事でもそうですね。部下に仕事を任せられない病の上司っていますよね。
その状態だけは避けたほうがよいと思います。
特に、専業主婦の方は、「旦那は会社に行くのが仕事、私は家事・育児が仕事。私の仕事を旦那に押し付けられない」
という、責任感の強い方もいらっしゃると思いますが、そこはグッとこらえて、任せるべきです。
「ただ一人で子供を観るだけ」がどれだけ神経を使うか、共通の感覚がないと、話ができません。
それを体験させてやるように部下(父親)をもっていくのは、上司(母親)の責任です。
ここにあきらかに上下関係があることを、まずは認識するべきです。
家族全体を統括しているのは、大黒柱である父親かもしれません。
しかし、家庭における日々の現場をぶん回しているのは母親です。
こと家庭内のオペレーションとなると、母親のほうが上司にあたります。部下の不出来は、上司の責任だと思います。

まとめます。
父親が犯してしまいやすい罪は「現場を経験してないのに自分の想像が正しいと思っている浅はかさ」であり、
母親が犯してしまいやすい罪は「父親に現場を任せてみて家事育児マネジメントの大変さを経験させてもいないのに解ってもらえる気になっている傲慢」
だと思います。

全てのご家庭にあてはまるかどうかはわかりませんが、参考にしていただけると幸いです。

ちなみに、我が家は、優秀すぎる妻一人で支えられてます。ほんとすごい。
家賃すらまともに払えておらず、かつほとんど家にいない僕が、
家庭内で、自分の価値を見出すのが難しいです。
「とりあえず、子供の前にいるときだけでもなんか楽しそうにしておく」くらいしか、今のところ価値がない…。

がんばります

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