蚊取り線香。いわずもがな、日本の夏の風物詩です。
特徴的なのは、その渦巻き型の形状です。
調べたところ、最初は仏壇にあげるお線香のように、棒状だったそうです。
しかし、それだとあまりにもすぐに無くなってしまうのということで、
最も長く使えて、かつ使用時の面積をとらないように渦巻状になり、
かつ、2つをワンセットにして、空白を埋めるように組むことで、パッケージされたときの体積も節約したそうです。
まず、この形を考えた人、めちゃくちゃ頭いいですね。
それと、もうひとつ。
もし、まだこの形状になる前、棒状のときに、
開発部の薬品担当がめちゃくちゃ優秀で、「自分たちが、めっちゃ長く持つ素材で作りますわ」っと言って、
実際に長く持つ線香が開発できてたとしたら、この渦巻状にする必要はなく、
現在日本のあちこちでみられることができる緑色の渦巻状のアレはこの世に存在しなかったかもしれません。
たった一つの企業のいち開発部の立ち居振る舞い一つで、日本の文化が決まってしまってるのだなと思うと、
文化って、大きな流れで出来ているようにみえて、
実は、特定の場所にいる特定の分野にたまたまアサインされた特定の人が勝手に決めたことが偶然何らかの形で大きなムーブメントになり、
結果的に歴史に刻まれていくってのが、繰り返されているだけなのであって、
歴史って、偶然の積み重ねに過ぎないのだな、
…などと思ったりします。
あと、全然関係ないですが、
蚊取り線香を入れる、あの例の豚の形をした陶器のやつは、蚊遣豚(かやりぶた)っていうらしいです。
そのままのネーミングで蚊取豚じゃなく、蚊「遣」豚にしたってのが、また粋な感じがします。