出産前夜〜一年前、産婦人科控室にて〜

ちょうど一年前。
2018年3月22日の夜、僕は妻の実家近く、佐賀市内の産婦人科の個室にいました。

その個室で、一言も言葉を発さず、弟の太陽と相方の青柳貴哉氏に、同時にずっとLINEを送り続けていました。
その文章を紹介します。

19:48

産婦人科の個室なう

20:20

まだ分娩室に入るまでには至ってなくて、
この痛みが早くおわって欲しいと3分おきに苦痛に顔を歪める妻の前で、何もできずに無力なう。

そう、一年前のこの時間は、長男が産まれる直前でした。
陣痛が激しくなったと、妻から電話がきたのが、18時21分。
妻を車で迎えに行き、産婦人科に到着したのが19時前後くらいだと思います。

個室内には、苦痛に顔を歪める妻、妻のお母さん、そしてそんな妻を前に何も出来ない僕の3人がいました。

20:31

個室にあるテレビが、俺が座っているソファーから見えづらい角度を向いていて、
それに気づいた妻が気を遣って「そっち向けたら?」と声を掛けてくれたが、そこまで見えない角度でも無かったので断ったものの、
あとあと気づくと、俺が座っている位置より俺の隣に座っている妻のお母さんの位置の方が、俺の位置よりもさらに見えづらいということに気づき、お母さんに気を遣ってテレビの角度を調整しようと一瞬思ったが、
お母さんの方を向けると、自然と俺の位置からも見えやすくなってしまい、
「こいつ、私がこんだけ辛いのにお母さんの方を向けるフリして自分が見やすい角度にしようやん。ただ座ってるだけなんに」
…とか思ってイライラしそうになっているけど、こんな事でイライラしてたらせっかく来てくれた俺に悪いと思って、二重にストレスかけていたらどうしようとか考え出して、もう何もできずにテレビ見ずにスマホみて気づかないふりしてるくらいテンパってるなう。


今、パッと一回見直しても状況がよくわからないくらいテンパりが伝わる文章ですね。
とにかく、テンパりすぎて、ありもしない妄想が暴走し、ぐるぐる回っているようです。

20:36

妻のお母さんが3人分の飯を買って来てくれて、とても食べられそうにない妻の前で食べるように勧められたが、
「こいつ、私がこれだけ苦しいのによく涼しい顔して飯食えるな?」
と思ってストレス与えたらどうしようとか考えて、一度断ったが、
「こいつ、腹減ってるくせに私に気を遣って我慢してんじゃないの?もう、そんなめんどくさい気遣いいらんから、さっさと食べて片付けてくれん?逆にこっちが気を遣うし、この状況で部屋がのり弁の匂いするのが嫌なんよね」
と思って倍ストレス与えてしまったらどうしようとか考えて、全然食欲ないのにのり弁完食したなう。

わかりにくいですが、とりあえず、夕食でのり弁当を食べたようです。

20:39

たまりかねて、妻から「テレビこっち向けたら?」と再度言ってくれたなう。
あぁ、やっぱりずっと気になってた状態で痛みと戦わせていたんやな、と申し訳ない気持ちなう。
マジで何もできないなう。

まだテレビの方向のことを気にしていたようです。でも、解決してよかったです。

20:49

病院に来る前に、
俺が病院の個室で待っているのが暇なんじゃないかと妻に気を遣わせるのが悪いので、
「俺、寄生獣を電子書籍で全巻買ってスマホで読めるようにしたき、何時間でも待てるわー」
とか言ってみたものの、
いざ個室で待機中にとても漫画を読む気分にはなれず、かといってテレビを落ち着いて見る気にもなれず、
こうやってずっとスマホを触っているのだが、よくよく考えると、
「私がこんなに辛いのに、こいつマジでしれっと漫画読みよんやないん?でも、かといって指摘すると漫画読めんくなって、マジで暇やろうから逆にそっちの方が気を遣うし、いちいち話しかけられてます面倒やし。もういいや。この人おらんものとして無視しよ」と思われているかもしれないけど、
もう、それならそれで全然いいなう。

ちなみに、寄生獣の電子書籍は、マジでiPhoneに入っているなう。

結局、寄生獣は全く読めませんでした。
もちろん、テーマが出産にマッチしすぎていて重いからという理由ではなく、テンパっていたからです。

明日に続きます。

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