記念写真が嫌い

記念写真が基本的に嫌いです。

正確には、イベントの集合写真などは嫌いじゃありませんし、
スナップショット的な写真を撮られるのはそんなにイヤじゃありません。
僕が最もキライなのは、いわゆる、
旅行先のフォトスポットで、通行人にカメラを頼み、全員が集合して、

「じゃあとりますねー、あ、一人顔がかぶってるんで帽子の方、顔だしてもらっていいですか?じゃあとりますね、ハイチーズ、パシャ、もう一枚いっときますね。縦と横どっちがいいですか?看板まで入れますか?」
「ちょっと待って下さい、○○さんがちょうどトイレから帰ってきたんで、もう一枚だけお願いします!」
「あ、もしよかったら私のiPhoneでもお願いします!」
「じゃあ僕のでもー。」

ってやつです。さすがにこれはイライラパターンのフルコンボマックスパターンなので、
ここまで強烈なパターンは無いですが、
とにかくもう、あの時間が全部嫌いです。

10年ほど前までは、カメラに対して、作った表情で顔の筋肉を固定することすら嫌でしたが、
仕事柄、それは流石に慣れました。

問題は、あのじわじわ流れる「今これ何の時間?」という時間です。
全員が1秒でも節約するために全力で協力すれば半分以下の時間で終わるのに、
集中力をもって真剣にやらない人間が嫌いで嫌いでたまりません。
そういった人間は、人間的な価値が低く、つまり自分の時間の価値が低いので、
他人の時間を無駄に奪っても、迷惑をかけている感覚がないわけです。

そして、さらに思うのは、
あの、全員がちゃんと均等な感覚に並んで写っていて、カメラ目線で笑顔を作っているという不自然なシチュエーションって、一体何なんでしょうか…ということです。

…とまぁ、ここまで書きましたが、
世間一般の皆様が記念写真が好きだということは知っていて、
そこそこ社交性があるので、我慢していつも撮っています。
僕のほうが普通ではないということを理解しているので、
一人だけ文句を言って拒否するようなことはしません。
僕が拒否をすると、それはそれで、
「やめちょくわ」「いやいや、入ってよ」「いや、こういうの嫌いなんよ」「そんなん面倒だから早く」という無駄な応酬が発生してしまい、こちらの方がストレスですし、
人に不快な気持ちをさせたり、嫌われたりするほうが嫌です。

だから、そんなとき、僕はいつも、
皆と同じように並び、
皆と同じように笑顔になり、
皆と同じようにポーズを撮って、
ただ無心にカメラのファインダーを見るのです。

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