西田にお金を送るつもりが間違って西田に金を送ってしまった話

僕はその日、西田という後輩とお酒を飲んでいました。
そして、とある理由で、彼に3000円をわたさないといけなくなりました。
「田川現金撲滅委員会」というコミュニティーを立ち上げたほどのキャッシュレス推進派の僕は、 現金で渡すのだけは絶対に避けたいと思い、
ポケットからさっとiPhoneを取り出し、LINEを開き、西田のアカウントを探しあて、LINE PAYで華麗に支払いました。

その数分後、西田に、「LINE PAYで払ったわ。確認よろ」と伝えると、
「えっ、来てないっすよ」とのこと。
LINEを開いてみると、間違いなく西田あてに送った履歴があったのですが、
僕は、酔っ払い過ぎて、ひとつ最悪のミスをおかしてました。

西田は西田でも、違う西田に送っていたのです。

本来送るべき西田(以降、西田A)に謝り、あわてて3000円を送りなおしました。

そして、間違って送ってしまった西田(以降、西田B)に、
「すまん、間違って3000円を送ってしまった。返してくれ」
…と送信しようとした瞬間に、ふと思い出しました。


西田Bは、よしもとの後輩芸人です。
現在は、キンボシというコンビで活躍しています。
僕と彼は、東京で芸人活動していたときに、劇場などでよく会っていました。

当時、2012年のことです。僕らのコンビが主催でお笑いライブを開催したとき、
スタッフの数が足りず、何人かの後輩に声をかけて手伝ってもらいました。
そのとき、音響担当として手伝ってくれたのが西田Bでした。

ライブでお手伝いをしてもらった後輩芸人には、お金を渡すのではなく、打ち上げで飯を奢るというのがよしもとの若手の常識です。
ライブ終了後、手伝ってくれた後輩たちにお礼をいったあと、
西田を打ち上げに誘うと、
「マジで打ち上げに行きたいですし、そのためにしっかり予定を空けてたんですけど、
昨日から風邪がひどくて、結構限界で、残念ですけど参加できそうにないっす。
誘ってもらったのにスイマセン…!」
とのこと。
もちろん、お世話になった後輩に対して無理を言う理由もないので、
「了解、今度あらためて焼肉いこうや」
といって、その日は西田Bを家に帰しました。

その後、西田Bに劇場などで合うたびに、今度焼肉行こう、今度焼肉行こうとずっと言い続けていたのですが、
なんだかんだでタイミングがあわず、
そのまま僕はよしもとを辞め、西田Bに借りを返すことなく、東京を離れて福岡に帰ってしまいました。


そのことを急に思い出した僕は、彼にメッセージを送りました。

「違う西田と間違って3000円送ってしまったんやけど、昔ライブで手伝ってもらったときの焼肉を奢れてなかったので、これはその替わりと思って受け取ってくれ。」

すると、彼から返信が来ました。

「LINEのアカウントを乗っ取られたのかと思いました笑。一回の手伝いをずっとこうやって言ってくれるなんて、ほんとに嬉しいです。ありがとうございます!!」

普通は、一回お手伝いをしてもらったら、すぐに飯でお返しをして、終了です。
それに比べると、今回は、6年半というめちゃくちゃ長いスパンで借りを返したことになります。
逆にいうと、ただそれだけです。
むしろ、お金をずっと借りていたことになりますので、本来なら多大な迷惑をかけていることにわけです。
そして、最後にこう返信しました。

「ここまでくると、もう手伝ってもらったことは一生忘れんよね。あのとき風邪ひいてくれてありがとう。」


本来、人に何かをしてもらったことに対する対価は、なるべくすぐに返すべきだと思いますし、今後もできるだけそうしていきたいと思ってます。

しかし、今回に限っては、普通にライブ後にすぐ焼肉を奢っていたよりもよかった気がしました。

たまには、借りを返しそびれてみるものだなと思いました。

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