ここ最近、何人かの方から、同じ質問をうけました。
「『パプリカ』って、あんなにメロディーが難しいのに、なんで子供があんなに歌えるんですか?」
ってやつです。
僕なりに、なんとなく分析してみたので、お伝えします。
※ただし、科学的根拠はなく、僕の個人的な考えです。
まず、メロディーの難しさと一言に言いますが、難しさにも二種類あります。
- リズムが早かったり、音階的に高低差があったりして、技術的に歌うのが難しい
- 覚えにくい
1つ目の理由については、これは大人でも子供でも歌うのが難しいと思います。
たとえば…オペラの名曲「魔笛」なんかはモロにこれです。
こんなの歌えないです。技術的に難しすぎるので当たり前ですね。
そして、2つ目の理由「覚えにくい」について。
パプリカは、こちら側に該当すると思います。
パプリカのメロディーは、ハッキリいって、覚えにくいです。
もうちょっと正確に言いますね。
“大人にとって”覚えにくいです。
ここで一旦、記憶について考えてみます。
一つ実験をします。
まず、紙とペンを用意してください。
そして、以下の画像を5秒ながめてください。
はい!5秒経ちました。
それでは、このページを閉じて、紙に今見た画像を正確に書いてください。
次に、以下の画像を5秒眺めてください。
はい!5秒経ちました。
それでは、先程と同じ用に、このページを閉じて、紙に今見た画像を正確に書いてください。
さて、いかがでしたでしょうか。
おそらく、一問目は書けず、二問目は書けたと思います。
これで、何が分かるのでしょうか。
それは、人がものを記憶する時、ゼロの状態からそっくりそのまま覚えているわけではなく、
すでに覚えているものを活用して、「覚える」というよりは、「思い出す」ように覚えているということです。
ちなみに、先程の画像は、2つとも、「ありがとう」という意味の文字で、
1つ目はタイ語、2つ目は日本語です。
本記事を読んでいるのは、日本語を理解出る方だと思いますが、
「ありがとう」という文字の形を、そっくりそのまま覚えているわけではありません。
ひらがなの「あ」、ひらがなの「り」、ひらがなの「が」…というふうに、
ひらがな50音という、あらかじめ自分の引き出しに保存済みの領域から引っ張ってきてるだけです。
図形的に覚えているわけではないんです。
まずは意味的に覚えて、思い出す際は、あらかじめ文字の形が保存されている引き出しに書いてあるラベルをもとに、
引き出しの中身を引っ張り出してきてるだけです。
もちろんですが、タイ語をすでに習得していて、日本語が分からない方は、一問目は書けるが、二問目は書けないでしょう。
話をパプリカに戻します。
これは、文字という資格情報だけではなく、メロディーという聴覚情報にももちろん適用されます。
つまり、大人がメロディーを覚えようとする時、生まれて今まで聴いてきたメロディーのパターンにあてはめて覚えようとするのに対して、
かたや子供は、そもそもメロディーのパターンなるものが蓄積されておらず、その替わりに、大人が絶対に勝てない、圧倒的記憶力を使って覚えようとします。
結論です。
パプリカは、今まで日本のポップスの常識に照らし合わせると、あまり聞き慣れないメロディーとリズムで構成されています。
だから、引き出しにこのメロディーパターンが蓄積されていない大人にとっては、覚えにくいです。
子供は、そもそも引き出しに当てはめて覚えようとしておりませんので、そっくりそのままのメロディーで覚えようとします。
覚えやすいとか、覚えにくいとか、そういう感覚がまだ備わっていないのです。
情報を効率よく収集及び蓄積しようとすると、どんどん常識に犯されていきますね。
パプリカのタイトルからモーツアルトの魔笛が来るとは思いませんでした。魔笛は、技術的に難しいのはもちろんなのですが、モーツァルトが(技術的に)人間にとって可能と思っていたのがすごいと思います。人間の可能性を信じていたって、なんかロマンがありますよね。パプリカはアジア人が好きな音を集めた感じがします。音楽は素人なのでよくわかりませんが。