果物屋にて

父の日のプレゼントに果物でも買おうかと、
妻と1歳半になる息子の虎之介を連れて、田川にあるおじちゃんとおばちゃんが夫婦で経営しているっぽい果物屋に行きました。

商品を選んでお店の人に渡し、包装が終わるまでの間、暇だったので、
そんなに広くはない店の中、目に入る果物を一つずつ指差して、虎之介に教えていました。

「もも、アボカド、りんご、みかん…」

そして、バナナを指差して、「バナナ」と教えると、
虎之介が、大きい声でハッキリと、
「ばなな!」としゃべりました。

その瞬間、果物を包装していたおばちゃんが、こちらを見てにっこり笑い、僕が指差したバナナを持ってきて、虎之介に渡してくれました。

虎之介は、満面の笑みでおばちゃんからバナナを受け取り、もう片方の手を嬉しそうにずっと振っていました。

虎之介目線でみると、

虎之介は、一切の労力を使うことなく、果物屋に連れて行ってもらいました。
そして、自分の足で歩くことなく、抱えられて店内に入り、
自分が気になる果物の名前を言っただけで、その果物が手に入りました。

こんなに自由でかつ楽チンなことがあるでしょうか。

僕や妻は虎之介に対する絶対的忠誠心で、身の回りの世話を全てやりますし、
お店のおばちゃんは、虎之介の人間的魅力に対して物品を納めました。

もはや、虎之介は大物タレントです。自分を売り込んで、ギャラをもらったわけです。
いや、売り込んですらいないかもしれません。存在しているだけです。
そう考えると、殿様かもしれません。
僕や妻は家来で、店のおばちゃんは年貢を納める百姓です。
それを、誰一人全く不幸と思わず、全員が幸福感の中で自分の役割を全うしています。

普通は、子供から大人になると、徐々にこのカリスマ性やタレント性が薄れてくるものだと思うんですが、
ウチの虎之介に限っては、ずっとこんな感じで生きていくんじゃないかという気がしてます。

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